- 1.何でハードテイル化か
- 2.ハードテイル(固いしっぽ) って何?
- 3.トレモロユニットを除去する
- トレモロユニットを外した
- ダボでポストの穴埋めも
- 4.アンカーボルトの穴埋めをします
- 外したアンカーボルト
- 面にそってノコで切る
- 5.トレモロスペースを木片で埋める
- 5-1.木片の材質選び
- 柾目はネジ止めで割れ易い
- 硬質広葉樹材が良い
- 5-2.木片を加工する
- ベルトサンダーは粗削りにとどめる
- 荒加工後の木片を置いてみた
- 5-3.木片を打ち込む
- タイトボンド+木粉のパテ
- 一気に削った結果
- 軽くスプレーで塗色しました
- 黒い所はシールドペイント
- Noise Hellシールド塗料
- 6.ブリッジをセットする位置を決める
- ブリッジ底面には飛び出していない
- 弦長と弦位置を確認
- 7.ブリッジをセットする
- 7-1.パターン1
- 残念な穴あけ
- このブリッジはパターン1
- 7-2.パターン2(楽な方)
- このブリッジはパターン2
- ブリッジエンドから弦挿入
- サドルブリッジ テールピース
- 8.音はどうよ
- 今回のストラト
- FenderJPストラト
- FenderUSAストラト
- 9.最後に
- アース線を通した
- アース線をはさむ
1.何でハードテイル化か
その後ピックアップをレースセンサー+アクティブ回路にトレモロユニットをフロイトローズに交換してしばらく家族に貸していました。

その後5~6年して、埃だらけの変わり果てた姿で、私のところに戻ってきました。

ちょっと弾いてみましたが「Tokai」のネックに替えられていてヒールサイズが合っていないのとアクティブ回路が取り外されていてポット類もレースセンサー用の250kΩではなく一般ピックアップ用の500kΩに変わっていてひどい状態でした。
本人に聞いたところライブ時に誰かが何かの拍子に倒してしまいネックが折れたとの事で主催者側が責任を感じて補修したらしい。その時ネック交換だけでなく回路の改変までやってくれたようです。
アクティブ回路無しのレースセンサーも悪くはないですがほんと初期のレースセンサーなので出力がチョット心もとないんです。アクティブサーキットも復活させなくてはと思いつつ、今回まずは「ハードテイル化」してみます。
2.ハードテイル(固いしっぽ) って何?

フェンダーのシンクロナイズド・トレモロは1950~1960年代にレオ・フェンダーさんが特許を取得してストラトキャスターに搭載されたらしいですが。その時代にはハードテイル(トレモロレス)ストラトが普通に販売されていたようです。
今ではビンテージとして結構な高値で流通しています。またFender Mexicoですが
「ビリー・コーガン・ストラトキャスター」
などが新品で販売されているようですが数は少ないです。例によってWebで検索すると「トレモロレスなら音も似ているしテレキャスを買えばいい」等と書かれている記事が多いんですが、ストラトとテレキャスは外観が違いますしピックアップの数も違います。ということで今回HardTail化にふみきりました。

「ハードテイル」の語源ですが正直よくわかりません。
そもそも「ストラトキャスター」の語源すら知りません。高校時代に図書館で調べたりしましたがよくわからずユニークな商品名と言う事で納得させていました。今回も「ハードテイル」について調べてみましたがあまり納得できる情報はありませんでした。唯一魚の名前で「大西洋に生息するスズキ目アジ科ギンガメアジ属の魚」と言うのがありましたが何でギンガメアジなのかわかりません。
3.トレモロユニットを除去する

下調べはこの位にして (;^_^A
その際アンカーボルトについている高さ調整ねじを緩めて、「くぎ抜き」(バール)がちょうど引っかかる程度まで上げてから薄い木材を土台にして「くぎ抜き」でクイッと引き上げるとそこそこ簡単に抜くことができます。その後の加工の事も考えて、ピックガードを外してその後ピッアップアセンブリ、ネックも交換予定だったので外しました。もちろんハードテイル化のみの場合これは不要です。

トレモロユニットを外した


ダボでポストの穴埋めも

4.アンカーボルトの穴埋めをします

私の場合、穴の直径をノギスで測ったところΦ8でしたので
「8X30の木製ダボ」をホームセンターで購入しました。
長さはこれもノギスのデプスの方で測ったところ22mmでした。
フロイトローズでなく標準のトレモロユニットの場合は6本のねじを外した後は「つまようじ」それが細ければ「焼き鳥のくし」を打ち込みます。

「タイトボンド」は硬化するとニカワっぽく固まりますので、
ギターメーカーでもニカワに代えて使用しているそうです。
ボンドが乾いたら薄めのノコギリでぎりぎりをカットして終了です。また、サンドペーパーで軽くバリをならせば更に完璧です。
外したアンカーボルト

面にそってノコで切る

5.トレモロスペースを木片で埋める

これが音や弾き具合にどう影響するか楽しみです。
一口にストラトキャスターと言っても製造メーカーや製造時期によって微妙に規格が変わることがあります。そこそこの精度で測るために、私の場合内径などが計りやすいデジタルノギスを使って測定しました。これは工業用の小数点第2位まで計測できるものです。一家に1丁あると便利です。形状は基本的に角丸の四角形でトップにあたるところは段付きで小楕円になっています。縦横プラス仕上げ代を2~3mm程度とって木片を切り出します。
このストラトの場合下図の程度の木片があればOKでした。

5-1.木片の材質選び
材質はあまりフカフカなもの(バルサ・桐など)では後でブリッジ部分をねじ止めする際効かないと困りますからそこそこ硬い材を使用します。桜・けやきなど広葉樹が木目も詰まっていいと思います。ホームセンターなどで実際に木目を見て「柾目の無い材」ならOKだと思います。少々もろいですがラワン材(マホガニー)でもいいです。もちろんタモ(アッシュ)材やハンの木(アルダー)があればオリジナルに近い材質となりますからベストです。
柾目はネジ止めで割れ易い

硬質広葉樹材が良い

5-2.木片を加工する

気をつける事として、あんまりキツキツだとボディーに打ち込んだ際、2ピースボディーの場合ですが中央に接着部があってパカッと半分に割れたり、クラックが入ったりする恐れがあります。流石にパカッは無いと思いますが...。
もし小さめになってしまったらすき間をタイトボンドと木粉を練ったもので補完する方法もありますから適度なキツキツさを心掛けて削っていきます。
もちろんスプリングスペースも木片で埋めて、再塗装するようなハイレベルの方は面一にした方がいいかもしれません。そこまでやらないならプラスチックのバックプレートで隠れますから多少へこんでいた方がむしろ楽です。
トップ(ブリッジ面)にあたるところは段付きになっています。計測値を元に鉛筆などでケガいて加工してもいいですが、完ぺきにマッチングさせたい時は木片を裏側から打ち込んでおいて、おもて面から鉛筆などで楕円窓に沿ってケガいたら、その木片を抜いてから段付き部分をノコギリで切った後サンディングするのがベストです。

私は寸法を測ってそのままベルトサンダーで加工しましたが若干すき間があいてしまい「タイトボンド+木粉を練ったパテ?」のお世話になってしまいました。
あとちょっとのあたりは手作業で進めた方がいいです。
ベルトサンダーは粗削りにとどめる

荒加工後の木片を置いてみた

5-3.木片を打ち込む
あとはタイトボンドを木片の周囲とトップの段付き面にたっぷり目に塗ってから、
その時は木片がボディートップに突出しないように、またへこんだ状態にならないように慎重に打ち込みます。もしはみ出してしまったら表面からあて木をして面一になるようにハンマーで打って修正します。
もし、ボディートップ・裏面に木片とのすき間が目立つようなら「タイトボンドと木粉を練ったもの」(木粉はベルトサンダー作業時に出たものを使用)をパテの様に塗り込んで端正にします。乾くとカチカチになり、若干痩せますのでほんの気持ち盛ります。盛りすぎても乾いた後でサンディングブロックを付けたサンドペーパーでシコシコ削ればきれいになります。

私はここでいきなりベルトサンダーで一気に修正しようとしたため悲惨な傷がついてしまいました。下手なのもある (;^_^A
あとちょっとの加工は手作業がベストですネ
レリックぽくクリアで塗装してもよかったのですが若干不自然さを感じたため、薄く白のポリウレタンスプレーで塗色しました。
タイトボンド+木粉のパテ

一気に削った結果

軽くスプレーで塗色しました

黒い所はシールドペイント

6.ブリッジをセットする位置を決める
まず、弦を通す穴とブリッジそのものを留める穴の位置を決めます。
ブリッジの1絃側と6弦側に不要になったプレーン絃(又は水糸)をつないでその2本をペグ側にもつなぎます。
(この時「弦のリング」がブリッジ裏に飛び出さないように工夫します)
ブリッジ底面には飛び出していない

トレモロを外す前に測っておいたナットからブリッジの長さに合うようにペグを調整します。
(ピンピンに張る必要はありません)
指板の両サイドと弦の間隔が適切になるようにブリッジ位置を合わせます。
弦長と弦位置を確認

7.ブリッジをセットする
ボディートップの適切な位置にブリッジを置いたら
をして
私の場合最初ブリッジエンドに弦止めがあるタイプのブリッジが見つからなかったので、次の様に2種類の加工パターンをやりました。
7-1.パターン1

本来のハードテイルの様にボディー裏から弦を通すやり方です。
この中で
私はΦ5の鉄鋼ドリルでボディートップから慎重に穴あけしたつもりでしたが

裏から見ると情けない配置の穴になってしまいました。
かなり剛性のあるラジアルボール盤やNCフライス盤等で木工ドリルを使って行えばきちんとした配置になったかもしれませんでしたが残念です。まあスプリングカバーのおかげで目立ちませんがテレキャスのようなオリジナルバージョンのハードテイル化にチャレンジする方は隠しようがありませんから注意が必要です。
あと手抜きでストリングブッシュを使用しないで弦を張ったところ、

弦のエンドリングが木材に食い込んでしまい弦交換の際とれなくて大変な思いをしました。
パターン1でやる場合ストリングブッシュは必須です。
残念な穴あけ

このブリッジはパターン1

7-2.パターン2(楽な方)

ブリッジエンドから弦を通すやり方です。これは本当に楽です。
イ.ブリッジ本体を留めるスクリューの穴の位置に印をつけておきます。

難しい長穴空けも、ザクリもストリングブッシュも不要です。
このブリッジはパターン2

ブリッジエンドから弦挿入

現在はパターン2で加工したハードテイルを使用しています。このゴールドパーツの色は24Kっぽい高級感のある色彩でメッキもきちんとしています。成金色が嫌いな方はシルバーもブラックもありますのでぜひチャレンジしてみてください。
感触としてはハードにチョーキングしても素直に反応してくれるところと、ピッキングして弦の反応がいい?感じです。
8.音はどうよ

テンデ参考にならんじゃないかぁ!!
という向きもありましょうが..。 (;^_^A
弾いた感じはトロモロ付と比べてカチッとタイトな感じです。スプリングがなくなったのとブリッジエンドからの弦入れの効果でしょうか。コードストロークではカチッと言う感じが更に現れます。コード弾きも録音しようと思いましたがソロ引きで十分違いは判ると勝手に判断して割愛しました。

録音環境は
アンプ Masall JCM2000+1960 classic Gain トーンコントロールは全て10のセッティング
録音 ベリンガーXM8500 Mic+Komplete Audio 6+Cakewalk BandLaboで録音しました。
3台のストラトの音を録音しました。4台目はリアPUがハムバッキングなので除外しました。
それぞれ
⇒ センターPU ⇒ センターPU+ネック側PU
⇒ ネック側PUの順で弾いています。
今回のストラト
FenderJPストラト
FenderUSAストラト
今回使用してしまった「アクティブ回路」の製作について別記事で投稿しましたので参考にしてください.....。
9.最後に
配線ルートですが、私の場合弦通しの穴を空けてしまっていたのでその穴に貫通するように、ピックアップスペースからドリルで穴あけしてアース線を通しました。(写真のみどり線)
元々のアース線がトレモロスプリングの横まで来ていますから、それに線を継ぎ足してブリッジにと届くようにすれば良いと思います。打ち込んだ「木片」には、それ用の穴あけが必要となるかもしれません。